
第49代理事長
西村 大仁郎
■未来へ向けた新たな時代の幕開け
「平成が終わるこの年、私たちは何をすべきなのか。それは間違いなく新たな時代が発展するための準備をしなければならない。」
私は、青年会議所は竹林のようでなければいけないと思っています。竹林は、一見すると地上に伸びる竹の1本1本が、強く自立し伸びているかのように見えます。しかしながら実際は、地中の根が一つにつながっており、地上の竹をしっかりと支えているのです。根がしっかりしているから丈夫でしなやかな竹が急速に成長していくのです。これは青年会議所が、使命と目的というしっかりとした根幹の上で、運動を行っていく様子と重なります。となみ青年会議所が、次の時代も率先して行動するために、時代の転換期である今だからこそ、明るい豊かなとなみ野を実現する為の礎を築き、新たな時代を迎える準備をしなければならないのです。
■理想の未来を思い描く
過去を振り返ると、昭和は、右肩上がりの経済、終身雇用、高い出生率、分厚い現役世代に支えられた社会保障と日本が好転していた理想の未来を描きやすい時代でした。しかし、平成になり、バブル崩壊、グローバル経済の開花、働き方の多様化、人口減少、人工知能などの新技術の登場や財政を圧迫する社会保障など、昭和の時代に当たり前だと思われたことが、当たり前ではなくなった、理想の未来を描きにくい、混沌とした時代だったといえるのではないでしょうか。しかしながら、この混沌とした時代だったからこそ、私たちがしなければならないことは、過去を検証し、理想の未来を描くことなのです。
1970年(昭和45年)9月18日経済の急速な成長、それに伴う社会の多様な変化に対処すべく、となみの伝統ある文化と歴史を尊重しながらも、より新しいとなみの理想像を求め、明るく豊かなとなみの実現をめざし、となみ青年会議所は創立されました。となみ青年会議所は、諸先輩方の様々な功績により、どの時代においても、新たな理想像を地域に示し続け、明るい豊かなとなみ野の実現を目指してきました。この積み重ねてきた実績は地域からの信頼となっており、この信頼が私たちの活動を支えているのです。私たちも、地域からの信頼をより強固なものに出来るように、新たなとなみ野の理想を求めて活動していかなければならないのです。本年度は、となみ青年会議所が創立され49年目を迎え半世紀最後の年になります。節目毎に、今までの活動を振り返り思いを共有することは、今後発展的に活動を行うために大切なことです。一人ひとりのメンバーの行動が、未来のとなみ野を創造するのだという強い使命感と目的を持って、共に未来への礎を築くために行動していきましょう。
■地域に必要とされる団体であり続けるために
となみ青年会議所は、創立当時からとなみ広域圏によるまちづくりを考え、明るく豊かなとなみ野を目指してきました。創立から半世紀を迎えた今もその考えに変わりはありません。その考えを礎とし、より発展的にとなみ青年会議所が進むべき方向性を定めなくてはなりません。
となみ青年会議所は、「明るく豊かなとなみ野の実現」を目指し活動しており、決して自己の利益や自己満足の為にやっている訳ではありません。では、どのような活動が地域を変えていく原動力になるのでしょうか。それは、向かうべき未来を地域に問いかけ、地域を変えていくために共に理想の未来を描く各種団体や企業、市民の声を集め、行政や関係団体も巻き込み、民間が主体となり、政治が動くきっかけを作る。この一連の活動が地域を変えていく第一歩であり、青年会議所にしか出来ない活動だと私は考えています。真に地域に必要とされる団体であり続けるためには、地域の向かうべき未来を示し続ける必要があります。となみ青年会議所として地域ビジョンの礎をつくり、多くの地域団体や住民の意見を聞き、企業や学校とも協力してブラッシュアップすることで、地域ビジョンとなり、地域を変えていくのです。また、地域ビジョンを礎として、となみ青年会議所の運動指針も作成いたします。
地域ビジョンと運動指針を未来に向けてつなぐことが、新たな時代を迎える準備となるのです。
また、地域ビジョン作成を通し、産・学・官・民と共に活動し、政治が動くきっかけを作ることは、新たな人々と出会い、会員拡大を行う機会の増加につながります。また、経験・知識が蓄積されることにより、地域からの信頼が更に高まります。今以上に地域から信頼され必要とされる団体になることは、となみJCブランドが高まることにつながり、結果としてとなみJCブランドが高まることは同志の拡大にもつながるはずです。また、事業だけでなく、となみJCブランドを高める広報活動を行うことで、となみ青年会議所の価値をさらに高めていきます。
■地域をけん引できる力を持ったビジネスリーダーの育成
となみ野に暮す人は、真面目で勤勉であり、粘り強く辛抱強いと言われています。また、共働きの夫婦が多く、定年後も仕事をしている人も多いなど労働意欲も非常に高い地域です。このように、真面目で労働意欲が高い人が多くいるものの、内閣府の統計データーでは、都市部に比べ労働生産性が3割低いという結果が出ています。この労働生産性の低さは、結果として地域の労働賃金を引き下げ、となみ野に住む人々の労働意識の低下を引き起こしかねないと共に、優秀な人材が他地域へ流出することにつながりかねません。では、なぜ、真面目で労働意欲が高い人がいるにも関わらず、このような問題が発生しているのでしょうか。それは、都市部に比べ、中小企業が経済の中心である為、多くの企業では、人材育成に充分な時間と費用を投資出来ていないからではないでしょうか。私は、組織には優秀なビジネスリーダーが必要だと思っています。そしてビジネスリーダーになるには、二種類のリーダーの育成が必要であると考えています。まず一つ目のリーダーは、組織の屋台骨となり、実務者として、また、時には管理者として部下をまとめることが出来るプロセスリーダーです。そして、二つ目のリーダーは、プロセスリーダーを含め、組織の全員をけん引出来るトップリーダーです。私は、となみ野の労働生産性を向上するには、まず、プロセスリーダーに関する教育を行い、地域に多く誕生させる必要があると考えています。優れたプロセスリーダーが多く地域に誕生することで、一般の社員の能力も向上し、地域の最大の資源である人財が最大限に生かされるはずです。個人の力が組織の力となり、組織の強化が、社業を発展させ、社業の発展が地域を発展させるのです。また、地域の方だけでなく、私たち青年会議所メンバーも率先して自己成長を続け、青年会議所活動と社業の両方を追い求めることで、地域が発展し、明るいとなみ野の実現に向かっていくのです。
また、青年会議所は、地域をけん引できる力を持ったビジネスリーダーを育成する最高の学び舎だと思います。だからこそメンバーは、青年会議所に入会し、家庭や会社など様々な人に理解と協力をして貰い、自己研鑽に努めているのです。青年会議所を卒業する時、メンバーは、地域をけん引できるビジネスリーダーとなっているはずです。青年会議所活動で学んだことを活かした事業を行い、学び舎での活動に理解や協力をしてくれた人たちに、地域をけん引できるビジネスリーダーとして成長した姿を見せ、感謝を伝えると共に、社業、地域の発展につなげましょう。
■社会を生き抜く力を持った強き青少年の育成
私たちの住むとなみ野にも、海外からの旅行や実習・就労、結婚など、様々な理由で日本を訪れる外国人の姿を見る機会が増加しています。急速な人口減少が進む中で、様々な問題が発生し、この問題を解決する為、今後は、より急進展にグローバリゼーションが進むことが予想されます。グローバリゼーションが進めば、地域住民の多様化が今後より一層進み、今までには想像できなかった新たな問題が生まれてくるはずです。そのような時代を生きていく青少年には、国際的視野と様々な人と関わりながら、何事にも意欲的に取り組む姿勢を持ち、多少の困難や逆境があってもへこたれず前向きに生きていける社会を生き抜く力が必要です。政府の機関が行った調査では、子供の頃に、家族の愛情・絆を基盤に、遊びに熱中するなどの様々な体験をした人ほど、自己肯定感が高く、へこたれない大人になるという結果も出ています。となみ野に暮らしている外国人と様々な体験を通して交流することで、これからの社会を生き抜く力を持った強き青少年の育成を行います。
また、社会を生き抜く力を持った強き青少年の育成には、社会生活に必要な思いやりや礼の精神、努力の大切さなどを学ぶ場の提供も必要だと考えます。思いやりの心や礼の精神を育て、努力する大切さを学ばせることは、強き「ひと」を育てることにつながり、その機会を子供の頃から与えることが重要なのです。
■青年会議所の魅力が更に広がる場所
私は、青年会議所活動の中で、多くの出向の機会を頂きました。それは私が自ら望み、その思いを多くの仲間が理解し、支えてくれたからに他なりません。出向を通して多くの出会いや経験が得られるのは当然ですが、それ以上に今まで自分が考えもしなかった考え方に出会えるのも出向の醍醐味です。新たな考え方はビジネスチャンスを生み、未来へとつながる重要な経験になるはずです。多くのメンバーに未来へつながる経験を積んでもらいとなみ野の発展につなげてもらいたいと思います。また、出向の機会は、自身の成長につながるだけでなく、新たなとなみ青年会議所を知る機会でもあります。他の青年会議所メンバーと交流することで、となみ青年会議所の魅力に改めて気づくことになり、この気づきが、となみ青年会議所の発展にもつながるのです。積極的に参加し、出向の機会を活かしましょう。となみ青年会議所としても、出向している仲間が、となみ青年会議所から出向していることを誇れるような支援を行っていきます。
特に本年は、日本青年会議所主催の第68回全国大会が富山で行われます。全国から1万人を超える同志が集い、共通の運動目的の下で意識を共有する重要な機会です。富山県での開催は、1986年以来33年ぶりとなります。全国大会の開催が、現役メンバーとして身近に経験できる上に、富山ブロック協議会 会長を輩出する青年会議所としても、事業に携わることが出来る大変貴重な機会です。積極的に参加し、協力を行い自己の成長の機会を活かしてください。そして、となみ野の魅力を全国に発信する機会につなげましょう。
■強き「ひと」と自己成長
私は、青年会議所に入り様々な人と出会うことが出来ました。自分の意思を一直線に突き通し行動出来る人、調整能力に優れ、いつの間にか周囲を味方につけてしまう人、コツコツと努力を積み重ね物事を成し遂げる人、人間力が高く仲間を巻き込める人、様々な個性溢れる人が青年会議所には存在しています。その個性溢れる人に共通して言えることは、強き「ひと」であるということです。この強き「ひと」は、誰かに教えられることでなれるものではありません。普段の行動から自然と成長していくものなのです。だからこそ、強き「ひと」の周りには、人が集まり魅力的なのです。この強き「ひと」に多く出会える団体は、青年会議所以外にありません。すなわち、青年会議所は、強き「ひと」を生み出す団体なのです。
また、人は誰でも、自分の人生をより豊かで幸せにしたいと願っています。そして、幸せになるための手段の一つとして青年会議所活動があるのです。「何のために入会し、どのように活動するのか」私自身も入会以来、常に悩み続けました。そして、悩むたびに青年会議所は、私に使命と目的を与えてくれ、自己成長する機会を用意してくれました。この幸せになりたいという漠然とした目標は、なかなか答えを見つけさせてくれません。だからこそ、青年会議所を活用してほしい。そして、自己の成長を追い求めてほしい。その先に、地域、会社、家族の幸せがあり、自己の幸せがあるはずだから。
成果とは、努力の積み重ねである
努力とは、自己成長の機会である
自己成長とは、未来の自分像に向かい行動することである
新たな未来を迎える今、自己成長を追い求め、強き「ひと」となり、未来のとなみ野の礎を築こう!