2018年度スローガン 仁愛~すべては共に生きる誰かのために~

2017年度 理事長所信

公益社団法人となみ青年会議所 2017年度 理事長所信

 

2017年度理事長 島田優平

 

自分の声

3年前、私は事故で生死をさまよいました。その一瞬に、「終わった」、「すまない」、「自分の人生はなんとあっけない」という3つの思いが頭の中で駆け巡ったことを鮮明に覚えています。私は奇跡的に一命を取り留め、今も生きています。その後家族、会社、JCメンバーに支えられ社会復帰し、青年会議所活動をさせていただいているわけです。この実体験から、人生において決して後悔してはいけないと強く思っています。

自然災害、テロの脅威など次の瞬間には何が起きるのかわからないこの時代、自分自身の生き方に納得し、覚悟を決めて向き合うことができるでしょうか。後悔をしないように、一日一日を全力で生きなければいけません。なぜ今この時代に自分は生きているのか。青年である私たちがすべきことがあるはずです。

 

ここにふるさとがある限り

ふるさと。子供の頃には意識できなかった、当たり前すぎて見えなかったふるさと。離れて初めて気づく親とふるさとのありがたさ。そんなかけがいのない私たちのふるさとは、2030年に消滅するのでしょうか。答えは「NO」です。2015年に発表された通称「増田レポート」では、私たちが住むとなみ野の一部についても消滅可能性都市として挙げられています。となみ野の人口が現在の9万人から、7万人へ急激に減少すると予想されているのです。残念ながら統計上この人口シナリオの信憑性は高いと言われています。ではそのような未来が訪れることを前提として、これからさらに30年後の2040年にむけて、今から私たちができることは何なのでしょうか。

となみ青年会議所が創設された1970(昭和45)年9月18日。その頃のとなみ野は各市町村という単位でそれぞれの地域が、切磋琢磨し、幸せなくらしを創り上げようとしていた高度成長期という絶頂の中でした。そのような時期に、これからの日本や地域の将来を見据えながら、「となみ野」という大きな枠組みの中で、明るい未来を展望し実現するために、このとなみ青年会議所は生まれました。そして2004年には、平成の大合併により現在の両市が誕生しました。結果としてこれは先達が思い描いた社会が実現された一つの形であり、その選択が最も市民や地域を豊かにできるという理念が具現化されたものだと思います。心が一つであるこのとなみ野では、各地域の個性を尊重し、地域のつながりを意識することが、さらに個性を伸ばしていくことへつながり、明るい豊かな社会の実現にさらに一歩、近づいていくものと考えます。

また、2020年には創立されて半世紀を迎えようとしている中で、この地域にとって「青年会議所でなくてはならない」という存在でありつづけなければなりません。今一度、私たちが行っている運動とその成果を見つめ直すと同時に、現在の青年会議所運動を市民に分かりやすくお伝えし、地域が明るい進むべき道を照らしていきます。私たちは先達が成し得てきた大きな功績に感謝と敬意を抱きながら、心身ともに最も充実している青年期において、これからの30年に責任と自覚をもって率先して行動し、顔を上げて明るく元気よく、未来に対して夢を描き続けることができる地域へと導き、誇れるふるさとを守る原動力となります。

 

先駆ける地域を創造する力を磨く

首都圏や地方は2020年の東京オリンピック・パラリンピックにむけて着実に動き始めています。しかし、昨今のヨーロッパを中心とした不安定な世界情勢等の外部環境の変化は、国内の経済にも影響を与え、国全体は危機的な状況を迎えつつあります。私たちの地域においては、その影響を直接的に受けているとは感じにくいですが、この危機を私たちが住む地域の諸問題と照らし合わせ、向き合い解決するための好機と捉え、自分たちの行動や判断がこれからの未来に大きな影響を与えていくことを自覚し、まずは自分たちの立つ場所である地域にあかりを灯し、踏み出すその一歩が大きなうねりとなる先駆けた地域をめざします。

地域づくりとは何かと問われれば、私は一言で「人づくり」であると答えます。地域は人によって成り立ち、人が地域をつくっています。そこに住む人の個性は多種多様であるにも関わらず、造り上げられてきた地域は継続的な努力を怠り自立できず、その個性を失ってしまいました。歴史と文化が薫るとなみ野は、それぞれの地域にコミュニティーがある個性の集合体です。今行政が掲げる地方創生は、地域に今一度光を当て、その個性を大いに伸ばすことができる機会ですが、地域の個性といっても簡単に発見し磨くことはできません。まずは、人との交流の中から自分を見つけ出し、客観的に自分がどのように見えるのかを知り、自分達の価値を判断する機会が必要です。そして、各コミュニティーでの活動の中から地域の個性をつないでいくことで、より地域がかがやき、さらに誇りを持てるふるさとになるのではないでしょうか。

しかしながら、その地域を牽引していく実際の担い手はどこにいるのでしょう。担い手の不足により、その地域の力を十分に発揮できていないのではないでしょうか。これからの地域がどうあるべきなのか、どのような方向へ進もうとしているのかについて、あるべき未来から、ありたい未来を創造する。そして現在の私たちの行動を見つめ直し改善していくことが人を磨き、地域の個性を伸ばしていくことにつながります。ただし、きれいごとでは地域を守ることはできません。青年経済人らしく、困難とされる経済性の側面から「先駆けた地域」を創造していくための機会を市民と共有していくことが、地域における問題意識を当事者意識へと変化させ、さらには地域の担い手としての意識を高めることとなり、それは「自立」という先駆ける地域を創造する力となります。また、同時に私たちの運動の進むべき方向や考え方について年間を通して、市民の心に届けられるように戦略的に情報を発信し、私たちの心を伝えていきます。

 

 

持続可能な地域づくりに貢献できるリーダーの育成

持続可能な地域とは生活環境に負荷をかけずに自然と人間が共存するという側面と、地域自らが主体性をもって継続的な活動を続けるという側面をもっている地域のことです。北陸信越地域では、68年後に子供がいなくなり、70年後には現役世代がいなくなってしまい、主体性をもつべき人が存在しなくなることは、地域が持続的に存続していくことができないことだと言えます。この現状に対して、持続可能な地域として自らが主体性をもって継続的な活動を続けていくことに率先して取り組んでいくのが私たちの役割です。その中でも地域の特性を把握し足元を固めていかなくてはいけない時代において、現役世代の半分以上を占める女性の活躍について考えることは、地域の将来について考えることだと言えます。半世紀の間に、法の整備の後押しや、職種は自営業から家族従事者、そして会社従業員に変化し、産業も一次産業から二次、三次産業へと変化していくことで生活も豊かになり、それに合わせて働く女性のすがたは大きく変わりました。女性が社会で活躍しながら、そして家庭ももてるという社会環境に対する市民の理解が深まり、今まで以上に女性が活躍できることで、これまでの社会構造が変化し、社会や組織はより良い方向へ変革する力を持ちます。女性がいきいきと輝きながら暮らせる地域の可能性は無限大です。市民と価値観を共有できる機会を提供し、地域で女性が一層活躍できる社会の実現につなげます。

また人口減少が始まり縮小傾向にある社会において、私たちの仕事は何のためにあるのか、会社は何のためにあるのか、改めて考えてみる必要があるのではないでしょうか。近年の科学や技術の劇的な進歩により利便性が向上し、これまで当たり前にあった仕事がなくなり、私たちの働き方を変えようとしています。仕事をよりよい社会をつくるための社会貢献へ直接的につなげて役立てていかなければ、地域に必要とされなくなってしまうでしょう。その時、地域には持続可能な地域経営を行うために、あるべき姿を描き未来や夢を語ることができるリーダーが必要です。時代の節目には、人が魅了される人間力と強引ともいえる力をもった「豪傑」が誕生し、社会が豪傑を求め受け入れることで時代が変革していくことを歴史は物語っています。現代のその力とは、未来を経営的な観点からアプローチし、挑戦し、より現実的で持続可能なシステムを構築できる力ではないかと考えます。私たちJAYCEEは理想と行動力により、そのリーダー像を率先して示していく使命があります。経営とは絶えず起こる問題を解決していくことであると考えます。問題から課題を見つけ出し、正面から向き合い、修練を積みながら戦い続け、結果を出すことができるリーダーとして、「豪傑」と呼べるような人財を育成し、社会で活躍できる風土、文化の創造へつなげていきます。

 

かがやく将来を思い描き挑戦できる次代を担う青少年の育成

日本人は勤勉であり、真面目で、そこにあるものを素直に受け止めていくという国民です。特に富山県の中でもとなみ野はその特徴が鮮明であるといえます。反面、ある講演の中で「日本人の高校生の100人に1人しか社長になりたい人がいない、アメリカでは100人に60人は社長もしくは起業したいと思っている」という事を聞きとても残念であり将来の日本に対して不安をおぼえました。

戦後ベビーブームによってたくさんの子供が生まれ、その子供が大人になって社会で活躍したことが国や地域の復興となり、明るい未来を創造するための灯となっていました。しかし、急激な経済発展を遂げ豊かさを求めていく中で、他人を思いやらない利己主義的な考え方へ傾倒してしまうことや、人への関心が薄れていってしまうことで、子供たちを取り巻く環境も変化していきました。そして地域の中で子供たちが育んできた切磋琢磨する心や、子供たちが生活の中で育んできた挑戦する心を育む機会が失われてきたと言えます。日常の暮らしの中で心を鍛えられることができないことで、ひいては自分の行動に対する失敗を恐れてしまい、新たな行動を起こせないでいるのではないでしょうか。新たな行動を起こすためには、自分自身が将来について想いを馳せなければ、新たな一歩は生まれません。また国際的な競争が激しくなる社会の中では、強い意志と将来への目的意識を持ち備え、たくましく生き抜いていく必要があると考えます。特に中学生から高校生にかけた年代で、将来の事を意識しながら生活できる機会があれば、その後の人生を歩んでいく中で、わずかでも選択肢を広げられることにつながり、自分の行動に自覚と責任を持ち、生きがいを持って人生を歩んでいけるのではないでしょうか。失敗を恐れることなく挑戦できる子供が一人でも多く育ってくれることが、将来の地域を支え元気づけていくための新たな燈火になると確信しています。

 

青年会議所という修練の場で出会う同志との絆

地域を担う団体の中でも、自立した組織を誇る青年会議所は最後の砦です。同志を拡大している地域は、「元気がある地域」であるといえます。日本の青年会議所には地域経済を担う3万5千人の青年経済人が、全国約700カ所で青年会議所活動の燈火をかかげて運動を展開しています。青年会議所に参加するその時点で、自分の足元にある世界は広がっているのです。そして全国の同志と出会う機会となる出向という場は、単に学びその成果をLOMへ持ち帰ることだけが目的ではありません。日本JCとは青年会議所の日本代表、各地区の代表であり、日本国内や世界全体を眺められる立場から明るい社会の実現のために運動をすすめる組織であり、そこで備えた俯瞰的な視点と行動力により、これからの地域を先駆けて牽引していく人財となります。そして青年会議所で出会う、多くの仲間たちの存在は、荒波の中へ身を投げ出したように自分自身の無力さを感じさせる修練を与え、同時にそれは刺激として成長させる機会となり、自分の器を大きくしてくれます。その成長は、それぞれの地域で仲間を引きつける魅力や憧れとなり、青年会議所で共に活動する仲間を増やし、絆を深めていきます。

全国の青年会議所では女性会員も活躍しています。となみ青年会議所ではまだ女性会員は少数でありますが、事業を通して地域を元気づけることができる新たな可能性を秘めた女性会員の拡大をめざします。会員の拡大は必ずや私たちが住むとなみ野をさらに魅力的な地域へと発展させることへつながると信じています。

となみ青年会議所が全員一丸となって「参加する」という行動から、私たちの運動は始まります。

 

おわりに

となみ青年会議所の事務局には今も“修練・奉仕・友情”という三信条の文字が掲げられています。これまでの活動の中で辛いこともありましたが、この言葉を思いだし乗り越えてきました。青年会議所は、40歳までという限られた時間の中で、仲間と切磋琢磨をして人間力を高めていくための学び舎です。社会で経験する様々な苦労はもちろんありますが、自らその修練を買ってでるのが青年会議所です。修練こそが青年会議所の真髄です。修練を乗り越えられるからこそ、奉仕をできる心の余裕を作り出し、その心によって自分の周囲に対して本当の奉仕ができるようになります。そして奉仕をやり終え、仲間の笑顔を見たときに大きな達成感の中から友情が生まれるものだと思います。地域、社会貢献をする前に、まずは自分を磨いて、自分を律し、自立していくことが第一です。その過程でたくさんの同志と出会い、語り合い、私たちはさらに成長していきます。そうして多くの修練を乗り越えてこそ、社会貢献を高らかに掲げ叫び、その運動を多くの市民に伝えていけるのです。私自身も活動の中で価値観を共有できる仲間に出会い、その仲間と自分たちの地域について熱く語る事ができるようになりました。そして、これからもその同志と共に活動していけると思うとワクワクします。自分一人だけが思っていても世の中は動きません。しかし、たった一人の運動が、世の中を大きく動かす力になることも事実です。

 

「一燈をささげて暗夜を行く。暗夜を憂うことなかれ。只一燈を頼め」

(佐藤一斉「言志四録」)

「一燈」とは、自分自身を唯一無二の存在にできるための「何か」であり、そしてこれさえあれば自分が生きていけるという「何か=一燈」です。その一燈を元に強くたくましく生きていくということを指しています。そして自分の歩んでいく道を照らすものになるまで、ただ一心に一燈を磨き続け、その灯りを頼りとして歩みを進めていくのです。混沌とした現代を生きる私たち青年は天下国家を論ずるよりも、まずは私たちがいる誇れるふるさとを照らし、運動を広げていこう。いずれ同志が二人、十人、百人、千人、万人、地域へと運動が伝播していく中で地域は大きく変わり、国が動きます。ふるさとは使命をもった人々によって守られていきます。となみ野の一燈となり、未来を照らし、夢を描きながら歩んでいこう。私たちの成長が地域の発展であるという気概をもって。

「となみ野を守るのはオレたちだ!」

TEL 0763-33-5544

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